聖帝さまの小話

基本、思い出。

2018-01-01から1年間の記事一覧

見舞いにきた古い友人。

師走のふたご座流星群が、 冬の澄んだ夜空に星を落としていた。 私が大酒を飲むのはいつものことだが、 今度ばかりは反省している。 私は午前3時、寒い駅前の広場で心臓をおさえ、 意識を失い、救急車でこの江戸川病院に 運び込まれた。 薄れゆく意識の中で…

失われたデータを求めて

連日のうだるような暑さで、 真夏の新宿 歌舞伎町はアスファルトを焦がしながら 街全体が蜃気楼のように湯気を上げていた。 七月の末、大暑の東京。 私は新宿 歌舞伎町近くにある 細長い雑居ビルの一室に入っている 雀荘『梁山泊』で いつものように仲間と麻…

私の父親。

ーはじめにー こんな私にも、父親という存在がいる。 ツイッターであまり父親について語らないのは、 私自身、『私の父親』という存在を、 うまく飲み込めていないからだ。 私はツイッターでもなんでも、 書きながら物事を整理するタイプだ。 これは私の父親…

『八尺様』と芦毛の馬

東京は大都会で、毎日ふつうに生活しているだけで 無数の人の顔とすれ違う。 見惚れるほど美しい女性の顔もあれば、 頭の禿げている疲れた中年男性の顔も、 歯の生え揃ってない子供の笑い顔、 スマホをニヤニヤしながら見てる若者の顔。 数えだしたらキリが…